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ピアノ・エッセンシャルズ

第3位「青春デンデケデケデケ」

★第3位「青春デンデケデケデケ」

これは、60年代のエレキブームの中でバンド活動に熱中する高校生の姿を描いた青春グラフィティです。芦原すなおの同名小説の映画化作品です。私が高校時代を過ごしたのは70年代ですが、地方の高校生は概ね似たような生活でした。それ故なつかしく、卒業アルバムをめくるような感じで見ることがでます。とれも好きな映画です。この作品の中で、ひときわ異彩を放っているのが、お寺の住職の息子・富士男役の大森嘉之の演技です。この俳優の演技を見られるだけでも、この映画を見る価値があるといったら言い過ぎでしょうか。まさにはまり役です。
彼の演ずる寺の息子のような高校生は、私の身近にもいたような気がします。どこかクールな目でクラスメイトを見つめ、時々、大人びた発言をする。その核心をついた言葉に、ドキッとさせられる。ぶっきらぼうだが、どこか頼りがいがある。そんな不思議な魅力をもった少年を、大森は見事に演じて見せます。「ああ、こんなヤツいたたい」と、きっと思われることでしょう。
大森はこの演技で、その年の数多くの映画祭で新人賞を受賞しています。いまほとんど彼の演技を見られないのは、本当に残念です。大森嘉之をご存じない方は、ぜひご覧ください。

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